もてぎ北ショートコースでのサーキット走行用に使っていたハスクバーナSM450Rでジムカーナしたら速いのではないかと、しばらく前から考えておりました。
最近ジムカーナではSM450Rは見かけないですが、過去のリザルトやブログや動画などを見るとジムカーナでも活躍していたようです。なのでもちろんジムカーナで使えるとは思いますが、実際どんな感じなのか、自分に合っているか、ジムカーナ用に仕立てる前に一度走ってみたいと思ってました。
シーズン中は大会へ向けた練習を優先しておりましたので、シーズンオフになってついに乗り換え計画始動の時が来ました。
今回の課題
乗り換えて本気で上を目指そうとするならば、各部のオーバーホールや仕様変更など必要ですし、そもそもナンバー登録もしなくてはいけません。
相当お金がかかると見込まれるので、その価値があるのか? ポテンシャルや自分との相性を掴めればということが大目的です。
いきなり390DUKEの記録を超えるのはさすがに無理と思っていますが、「このバイクならさらに高いところまで行ける!!」という期待感が持てるかどうかが大事です。具体的に言うならば、素で乗って110%切りがくらいが目安かなと考えていました。
最近記録も上がって自信もついてきたところです。「違うバイクで走るのはどんな感じなんだろう」「軽くて馬力もあるし、凄くイイ感じだったりして!?」なんて、久しぶりにワクワクしてなかなか眠れませんでした。
懸念していたこととしては、ハンドルの切れ角が小さいことです。小回りのキツイコースだと、慣れないうちはまともに走れないかもしれないという不安もありました。
コース
いつもよりきつめのコースとなっております💦
最近は小回りにも自信がついてきたので、390DUKEで走ると考えたら何とも思わないのですが、初乗りでハンドル切れ角が小さい車両なのでかなり不安になりました。
フリーターンは今でもあまり得意ではなく、それが3連続というのもなかなかきついです。足つき可ですが、練習中は足つき不可と勘違いし足を着かないように走っていたので、自分で勝手に苦しんでいました。
慣熟走行
仕様としては、サーキットで使っていた16.5インチスリックから最初のころに使っていた17インチのスポークホイールに交換し、今年の4月ころに使っていたIRCのRX03を履かせています。スプロケットは手持ちで一番ショートになる組み合わせ(14×45→13×48)に変更してきました。
いきなりコースを走るのは不安過ぎたので、まずはウォームアップコースと8の字コースで試走しました。
ファーストインプレッションとしては、「とにかく怖い」でした。ハンドルが軽くフラフラし、着座位置が高く、なおかつ尻上がりな車体姿勢、サスストロークが大きくピッチングが激しい。懸念していた通りハンドルの切れ角は小さく、想像以上に早くフルロックに当たってしまうので、小回りするにはバンク角を深めるしかないものの、地面が遠く感じて限界が掴めない。
こんな状態ではAグループで走ったら追いつかれて迷惑をかけるかもしれないし、そもそもコースをまともに走れるのだろうかと不安でいっぱいになりました。
あまりにも怖いので、どうしたものかと周りを見回したところ、モタードの人は車高が低く、さらにリア下がりになっているように見えました。
フロントはめいっぱい突き出しされていてこれ以上下げられないので、とにかくリアだけでもということで、イニシャルアジャスターを初期状態から10mm、そして15mmと2段階試しました。
リアが下がってだいぶ不安感が減りました。走行開始が一番遅いAグループで、それまでの間にマーシャルの予定が入っていなかったので、その間をほとんどフルに使って慣熟し、なんとかコースは走れそうというくらいまでにはなれました。もはやこの時点で「もしかしたら凄く速く走れたりしてw」という妄想的期待は完全に消え去っていました。
走行1
「1、2周目を本番のつもりで…」みたいなことを言っている状況ではないので、恐るおそる1周目を走り、とりあえずきついターンも曲がりきれたので一安心でした。
その後は一応ペースを上げることを試みたのですが、とにかくバンク中の不安感が強く、切れ角も少ないのできついターンは怖く、攻めるという感覚ではありませんでした。
L1 1分49秒426
L2 ミスコース
L3 1分41秒194
L4 1分39秒406
L5 1分44秒312
走行2
セッティングというレベルではなく仕様が根本的に合っていないような気がしましたが、まずはライダーに出来ることをしようということで、「この状態で自分が出せるタイムはこのくらいだろう」と感じるところまでは頑張りました。
L6 1分38秒154
L7 1分37秒159
L8 1分36秒906
L9 1分36秒833
L10 1分37秒403
サスが動き過ぎるのか、次の操作を待っている時間が長くてもどかしい感じです。それと、ハンドル切れ角が小さいのでバンクを深くしないといけないのですが、グリップ感があまり掴めず、深く倒しこむのが怖い。
切れ角が小さいこと自体に慣れていないので、いつもより早くハンドルがストッパーに当たってしまうことに体が反応できておらず、バランスが上手く取れない感じもしました。
走行3
リアを下げ過ぎた気がしたので、15mm変更したものを5mm戻しました(初期状態から10mm)。
気持ち安定感が出たような感じがしたのと、だんだんバイクに慣れてきたのとで、タイムは多少上げることができました。
L11 1分38秒161
L12 1分37秒283
リア圧側減衰 3クリック緩め
L13 1分38秒560
L14 転倒
L15 1分39秒080
ダメもとですぐに変更できるリアサスの減衰をちょっと変えてみましたが、違いは判りませんでした。
あとはもうフルロック旋回のバンク角を増やすしか、今できるタイム短縮方法はない感じでしたが、案の定というか、旋回途中でフロントが滑って転びました。
全く思い通りに動かせない上に、勇気を出して頑張ったらやっぱり転んだということ、先週イイ感じで104%出たりした後だっただけにその落差も大きく、メンタルがズタボロになってきました。走っていてもつまらないし攻めるのも怖いし、もう帰りたい気分でした。
走行4
貧乏性なので、走りたくなくても走る男😅 転んでもただでは起きたくない…
運転で今自分に出来ることはやったので、次はヤケクソのFRサス減衰全抜きです。
よく、「サスセッティングを1からやるときはまずは全抜きから」という話を聞きますが、なかなかそこまで思い切ってやったことはなかったです。今回はいい機会、どうせ遅いならということでやってみました。
L16 1分39秒578
L17 1分40秒823
L18 1分39秒632
L19 1分37秒830
L20 1分37秒618
L21 1分36秒177 ☆
まず感じたのは、「意外と走れるもんだな」ということです。まぁアジャスターを全部緩めたからと言って、本当に減衰がゼロになるわけではないわけですからね。正直に言うと、あんまり違いが判らなかったです😅
全部緩めたため、前後バランス自体は大きく変わっていなかったのかもしれません。
ただ、タイムは落ちてますから違いは出ていたと思います。3周目くらいまでは漠然とですが「やっぱり全抜きはやり過ぎだったな、イマイチだな」という感想でした。
しかし、乗り方がアジャストできてきたら結局、今回のベストタイムが出ました。
走行5
減衰全抜きでタイムは上がったものの、乗り味が飛躍的に良くなったわけでもなく、前後バランスとかも含めてどっちの方向に行ったらいいのか全然イメージがわきませんでした。とりあえず方向性を見るため、減衰を全て、全抜きから5クリックだけ締めてみました。
L22 1分38秒717
L23 1分37秒256
L24 1分39秒683
L25 1分36秒888
L26 1分36秒283
L27 ミスコース
ベストタイムは更新できませんでしたが、0.1秒落ちという同等のタイムで良し悪しはよくわかりませんでした。根本的に合っていないものを小手先でごまかそうとしても無駄という印象でした。
続くフリー走行時間も走り続けましたが、これだけ走ったのにいまさらミスコースを繰り返すなど完全に集中力が切れてしまい、最後に1周まとめることも出来ずに走行をやめました。
まとめ
トップタイム比 114.436%
これより記録が悪かったのは、今年1月にこのウミガメ練習会で体験参加した時(初ジムカーナ)と、ダンロップ杯第2戦(初大会)の時だけ。走り込んでこのタイム比というのは、自分史上衝撃的な悪い記録でした。
北ショートコースではあんなに速かったSM450Rが…390DUKEよりもパワーがあって軽くてサスも性能が良いはずのSM450Rが…
「もしかしたら良いタイム出ちゃうかも?」とちょっぴり期待していたものが、まさかこんな結果になるとは…
「サーキット仕様では合わないかも」という心配も確かに持ってはいました。それでも漠然と110%切るか切らないかくらいまでは行けると思ってましたので、想像以上に乗り辛かったのは間違いないです。
何をやってもうまくいかない、もはやバイクの乗り方を忘れたかのような感覚に陥りながらもがいて走り続けたので、最後は精魂尽き果てました。最近記録が上がって自信もついてきたところ、「もっと早く走れるはずだ」という思いがあったせいもあると思います。これが初ジムカーナみたいな状況だったら、「こんなものかな」「今日は頑張って115%切れた」で終わっていたかもしれませんが…
苦労した一番の原因は、ハンドルの切れ角小さかったことです。1年間ハンドルが大きく切れる390DUKEに合わせて走り方が構築されてきていたので、切れ角が小さいバイクでの回転が全く出来ず、ただ遅く大回りしているだけになっていたということです。
足回りについては、サーキットの緩いコーナーに適した高荷重、高減衰の設定が、ジムカーナの細かい動きに合う低荷重、低減衰の方向性と全く逆だったことや、サスストロークも長すぎて細かい切り返しなどで戻ってくるのに時間がかかり過ぎたこと、車高、前後バランス、すべてがアンマッチだったりちぐはぐだったりしていたんだろうと思います。
ですから、SM450Rでジムカーナをするならば、ジムカーナ用に前後サスの仕様変更を行ってセッティングを出すことが必須ということになります。パワーや軽さは感じましたし、出力特性も特に扱いづらい感じもなかったので、そこはメリットとして生かせそうです。
ただ、私にとって致命的なのは、ハンドルの切れ角が小さい事です。フォークがラジエーターやタンクに当たるので、ストッパーをどうこうしてもこれ以上は増やせない感じでした。ジムカーナが出来ないような舵角量ではないと思いますが、今の私にとっては、やっと小回りに自信が持ててきたころ合いで、大幅な走り方の変更を強いられ、なおかつ適応できるかわからないギャンブルになってしまいます。
ゆくゆくはそういう技術も必要になるかもしれないですが、今はまだ、今のスタイルで伸びしろが残っている気がします。数歩下がって違うスタイルに挑戦する段階ではないのかなと思います。
サスの仕様変更にはかなりの費用も掛かりますし、ナンバー登録やその他のメンテナンスも含めると、SM450Rをジムカーナ用に仕立てるのには、ちょっとした中古車両を買うくらい掛かりそうです。
これだけ感触の悪かった車両にそこまで投資する余裕は無いので、夏ごろから密かに思い描いていたSM450R乗り換え計画は白紙にして、もうしばらくはKTM390DUKEで頑張っていこうと思います。
9月ころまでは限界を感じていた390DUKEですが、フロントフォークの突き出しを変更して以降すっかり乗りやすくなってきて、もうひと頑張りでワンステップ上がれそうな光が見えてきている所でもありますから、この乗り換えが白紙になったことについてはあまりがっかりはしていません。
最近は北ショートコースの走行も飽きてきてほとんど行かなくなり、来年はもてぎのライセンスも更新しないつもりです。いい潮時なので、SM450Rもこれをもって手放そうかなと思います。しんどい一日でしたが、踏ん切りをつける意味では良かったです。