ラジコン レビュー

【ラジコン】 サーボ最速王決定戦 【ちょうど良いサーボとは】

手持ちのサーボの種類が増えてきたので、サーボの比較をしてみました。

サーキット初心者こそ良いRCメカが必要

ラジコンを始めるにあたっては何もわからないので、最初タミヤのフルセット完成品を買いました。RCメカはセットについていたファインスペック。「サーキットを走るにはファインスペックでは厳しい」という情報はそこかしこから聞こえてはいましたが、「反応の良いメカなんて自分の腕では使いこなせない。下手な自分はこれで十分。もっと上達してから考えればいい」と思っていました。

しかし壊しまくってしんどくなり、そのうち全然行かなくなっていました。サーキットを走らせるのってとてつもなく難しい事なんだなと思いました。2年ほどやった今になって思えば、最初の頃に悩みに悩んだ直進性の悪さや、やたらと壁にぶつかって壊れる、狙ったラインを全然走れないといった問題は、プロポとサーボをちゃんとしたものに変えていたら、それこそ半分以上は解決していたのではないかと思います。たまたま再開できましたが、そのままフェイドアウトしいてもおかしくありませんでした。

何が悪かったのか。
問題はいくつかありますが、入門用のセットはとにかく反応が遅いです。それでどうなるかといえば、例えば、「右に曲げたい」と操作しても実際にクルマが右に曲がり始めるのがワンテンポ遅れます。曲がり始めないから無意識に多めに操作します。その結果、右に行き過ぎます。慌てて左に戻そうと操作します。戻るのが遅れるので多めに操作します。左に行き過ぎます。この繰り返しで、直線を蛇行する危ない初心者の出来上がりです。

コーナーでも反応が遅いので大回りしてしまいます。動きを予測して早目に操作しようとしても、その時の速度によって曲がり具合は変わるので、ちょうど良いタイミングを取るのがとても難しいことになります。インにぶつかったりアウトにぶつかったり。狙ったラインを通れることもあるけれど博打のようなもの、全然思い通りに行きません。

「自分がこう動かしたい」がちゃんと伝わらないのは、テクニック以前の問題です。上級者なら経験からある程度予測して操作できるかもしれませんが、初心者には無理です。

つまり高性能なRCメカ(送・受信機、サーボ)はサーキット初心者にこそ絶対に必要なものです。私などは改造というとついつい「速いモーター」「高出力のバッテリー」などを求めてしまいます。広場で走らせる楽しみ方ならそれも良いと思いますが、サーキットでそれをやったらただただ壊しまくってやめる結末が待っています。もちろんテクニックを磨くのも大事なのですが、そのためにも適切に操作を車体に伝えられるRCメカが大事なのです。

ただ、当時その必要性が理解できていたとしてももう一つのハードルとして、「初心者が次のステップに選ぶべきモデル」がどれだかわかりませんでした。

というわけで、「どのサーボを選べばいいのか」のご参考になればと思います。
私もまだまだ経験が浅く人に教えるような知識はありませんが、大変興味深い比較テストで勉強になりました。

比較結果

今回は無負荷での速さだけの比較です。
速い順に以下の通りです。(数値は公称スペック)

1位 FUTABA HPS-CT501
スピード:0.07s/60°(6V) 0.06s/60°(7.4V)
トルク:17.1kg・cm(6V) 21.0kg・cm(7.4V)
重量:44g(実測43g)
定価:24,200円(実売約18,000円)
備考:ハイエンド。フタバ製で一番速い

2位 SAVOX SC-1251MG PLUS
スピード:0.09s/60°(6V)
トルク:9.0kg・cm(6V)
重量:44.5g(実測45g)
実売価格:7,480円
備考:ミドルクラス定番?

3位 GXサーボ G25
スピード:0.08s/60°(6V)  0.07s/60°(7.4V)
トルク:22kg・cm(6V) 25kg・cm(7.4V)
重量:68g
実売価格:6,980円
備考:ハイスピード・ハイトルク・重め

4位 SPT4412LV
スピード:0.09s/60°(6V)
トルク:12kg・cm(6V)
重量:68g(実測49g)
実売価格:約3,000円
備考:Amazonで人気

5位 GX Servoシリーズ X25
スピード:0.06s/60°(6V)  0.05s/60°(7.4V)
トルク:22kg・cm(6V) 25kg・cm(7.4V)
重量:70g(実測72g)
実売価格:9,717円
備考:ハイスピード・ハイトルク・重め

6位 SAVOX型番不明(RO1.0付属品)
スピード:不明
トルク:不明
重量:(実測45g)
定価:不明
備考:RO1.0のRTRに付属したもの

7位 メーカー不明(104002付属品)
スピード:不明
トルク:不明
重量:(未計測)
定価:不明
備考:WLtoys 104002に付属したもの

8位 SANWA SRM-102
スピード:0.2s/60°(4.8V)
トルク:3kg・cm(4.8V)
重量:45g
定価:6,050円
備考:だいぶ古いモデルと思われる

9位 TAMIYA TSU-03
スピード:0.17s/60°(6V)
トルク:3.5kg・cm(6V)
重量:37g
定価:3,850円
備考:タミヤのファインスペックプロポセットに付属。入門者向け

テスト詳細は動画にてご確認ください。

所感

・総評
さすがCT501は値段だけのことはありました。そして高スペックで期待したGXサーボですが、ちょっと変わった作動特性を持っており、私の用途ではメリットがない感じでした。特にX25は反応が遅い(動きは速いけれど…)ので、私が求めるダイレクト感には合わなかったです。気に入っているSAVOX SC-1251MG PLUSがやはり良い感じだったのと、SPT4412LV のコスパの良さが際立ちました。そして、入門用とミドルクラスの差が非常に大きく、これでサーキットを走ってたのは本当にヤバい事だったと理解できました。
結論としては、「ハイエンドバギーにはハイエンドサーボを」「ミドルクラスなら0.1秒以下くらいの動作速度でトルク10kg・cm前後あればOK」「入門用サーボはサーキットでは使えない」という感じです。

・サーボごとの所感

1位 FUTABA HPS-CT501
HPを見る限り、FUTABAで一番速いサーボです。実力通り1位でした。私レベルで言うのもなんですが、使った感じもハイエンドにふさわしいダイレクトな操作感です。速いゆえか、時々ブルブルと震えるような動きやフルステアした時にストッパーにあたったかのように震えているのが、他のモデルに見られない特徴でした。動き出しから最大舵角までフルスピードだからこそなのかもしれません。

2位 SAVOX SC-1251MG PLUS
私が最初に買ったミドルクラスサーボです。反応の良さ、動きの速さ、保持力、コンパクトさ、コストなどバランスが良く、操作感がとても気に入って、3個持っています。比べてみた結果を見ても、やはり良いサーボだと思います。

3位 GXサーボ G25
同価格帯のSAVOX SC-1251MG PLUSと同等のスピードではありましたが、公称スペックほどではないように感じました。「重いけどトルクがある」という特徴が生かせる車種で使うのが良いでしょう。私が今走らせている車両ではあまりメリットがなさそうですが、ウエイト代わりになってハンドルが良く切れるようになるかもしれません。今度RO1.0で実走テストもしてみようと思います。

4位 SPT4412LV
公称のスピードほどは出ていないように感じますが、十分使えるレベルですし、値段を考えれば納得できます。壊れたらそれで終わりの使い捨て製品だとしても、もうミドルクラスまでのファンライド用はこれ一択でいいのではないかとすら思います。ユーザーも結構多いようですし、すぐ壊れるようなことは無いのではないかと思います。

5位 GX Servoシリーズ X25
前回CT501との比較テストで公称スペックより遅そうだということが分かっていましたが、「動作速度は速い。けど、反応が悪い」という斜め上の結果でした。「機械の性能はスペックだけでは語れない」という良い教訓が得られました。他に安くて反応の速いモデルがある以上、サーキットでこれを使う理由はありません。テストした品は正規輸入品ではないということだけ付け加えておきます。

6位 SAVOX型番不明
とりあえず手元にあったので比べてみたものです。思ったよりは良かったですが、使った感じサーキット走行にはスピードも保持力も物足りないです。ただ、走れないレベルではないので、「サーキットを体験してみよう」というくらいの状況なら一応は使えると思います。

7位 メーカー不明(104002付属品)
やっぱり遅かったです。これ以下のサーボは少なくともカーペットのサーキットでは使ってはいけません。危ないです。ダートコースを一人で走る分には走れましたが、ダートクロスと104002の対決においてどのくらいハンデになっていたのか、今度サーボを替えてテストしてみようと思います。

8位 SANWA SRM-102
TAMIYAよりはマシだろうと思って一時期使っていたのですが、全く同じレベルだったのが確認できました。

9位 TAMIYA TSU-03
遅いです。トルクも小さいし、これでサーキットを走るということがどれだけクレイジーなことだったのかを実感することができました。多くの人がRCを始めやすくするという点で大きな成果を上げている入門セットだし、その意義はあると思います。入門向けのモーターで広場を走らせるなら何の問題も無いでしょう。ただ、そこからもう一歩踏み込んでサーキットを走ってみようとしたときに、躓く原因になるかもしれないのが難しい問題だと思いました。

・考察まとめ
この機会に各メーカーのHPもざっと見ましたが、速さスペック的にはCT501の0.06s/60°というのは全体的にも最速のようです。X25の0.05s/60°というのが本当だとしたら、みんなこぞって買っているような気がするのですが、とんと情報が無いのは……いや、わかりませんが…
私の知りたかった「サーキットで使えるライン」ということに関していえば、少し見えてきました。ただ、今回わかったのはそのラインはパワーソース(モーターやバッテリーの性能)にもよるということです。つまり、パワーソースが遅ければ、「サーキットで使えるライン」というのも下がる気がします。ですから単純に「これは良い、これはダメ」と言い切れないのもなんとなくわかりました。
私の中ではハイエンド以外のモデル(私の持っているもので言えばRO1.0やジェノバ)であれば、0.09s/60°のSPT4412LV以上であれば使える気がしています。トルクもSAVOX SC-1251MG PLUSの9kg・cmで問題ないので、12kg・cmあるSPT4412LVが3,000円というのは…もうこれだけ買っておけばオッケーと思ってしまいます。より良い結果を求めるなら、性能の良いものを買ったほうがいいとは思いますが、実際のところRO1.0にCT501を付けたらどのくらいメリットがあるのか…宝の持ち腐れになるかもしれないとも思います。
ハイエンドバギーに対しては、走るだけならSAVOX SC-1251MG PLUSでも良いと思いますが、タイムはさておいても「ハイエンドらしい走り」を楽しみたいならやっぱりサーボもハイエンドかなと思います。
オフロードでは、サーボが速すぎると「空振り」のような感じでグリップを逃してしまうこともあるそうです。私の中では今のところ、オフロードコース用や、カーペットでも遅いパワーソース用にはSPT4412LV買っておけばオッケー!!という感想です。

自分語り

ホビーラジコンに復帰したのは2022年の1月ころでした。2.4㎓プロポ?、ブラシレスモーター?、リポバッテリー?……子供の頃(1980年代)にはなかったものばかり。完全に浦島太郎状態でしたので、とりあえずタミヤTT-02のXB(フルセット完成品)を購入しました。そして子供の頃も走ったことが無かったオンロードサーキットにデビューしました。

いざ走らせてみると車が全くまっすぐに走らず、壁にぶつかりまくってボディは瞬く間にボロボロ、バンパーやナックルやサスアームを度々破損し、修理と問題解決のために色々なパーツを購入するなど苦労しました。

「プロポとサーボは良いものを使ったほうがいいよ」とあちこちから聞こえてきましたが、こんなに下手な自分には高性能なものなど無用の長物だし、そもそも「良いもの」とはどれなのかわかりませんでした。いや、ハイエンドの製品は調べればすぐに出てきます。各メーカーの一番高いモデルですから。でも8万だ10万だとあまりにも高すぎるのです。ミドルクラスの製品が欲しかったのですが、どれがミドルクラスにあたるのかわかりませんでした。

検索してもなかなかそういう解説をしているサイトが見つからないし、現行モデルじゃない情報も多い。初心者は入門用セット使ってるし、マニアはハイエンドを使っているけれど、その中間の情報が本当に少ないなと思いました。実際、RCカーのラインナップもミドルクラスが見当たらなかったので、業界的にそういう時期だったのかもしれません。

そんなこんなで、最初に買ったのRCメカのまま走行を繰り返しては車を壊していました。そのうち、ある程度慣れたにもかかわらずいつまでたっても操作が思うようにいかないことから、だんだん飽きてしまいました。暖かくなってバイクツーリングに忙しかったし、暑すぎて屋外のサーキットで日中に遊ぼうという気にもなりませんでした。気づけば半年ほどRCから離れていました。

冬になって、「せっかく持ってるし」という気持ちでまたサーキットに行きましたが、ブランクもあってさらにうまく走れなくなっていて楽しさもあまり感じられず、「下手なんだから練習しなきゃ」と、なんだか義務的に走っているような感もありました。

そんな折、行っていたサーキットが閉鎖するということからつくばラジコンパークを見学に行きました。私はもともとバギーをやっていたし、再開するときもバギーを走らせたかったのですが、近くにあったのがオンロードサーキットだったので、TT-02を買いました。しかしつくばラジコンパークまで行くのなら、カーペットコースもダートコースもあります。そして、ちょうど発売されたばかりのミドルクラスバギー、ジェノバ。

たぶんあのままTT-02で近所のコースを走っていたら、たま~に走りに行くだけで、だんだんフェイドアウトしていたかもしれません。ちょうどジェノバから始まったリアモーターバギーブームやミドルクラスモデル、復刻モデルのブーム再燃があって次のステップに行くことができました。

ミドルクラスモデルだと聞いてとりあえずで買ったFUTABA T4PM Plus。使い始めた時はそれでもまだ違いが判らず、「やっぱり自分には高性能RCメカなんて必要なかったんじゃないか」と思っていました。SAVOX SC-1251MG PLUSを付けても、「まぁ、良くなったのかな?」という程度でした。それで練習して、徐々に上達が感じられました。

それから1年たって、まさに1年ぶりに昔のメカのままのTT-02を走らせたとき、「こんな状態でよくサーキットを走ってたもんだな」と唖然としました。なんで当時あんなにぶつかったのか、よくわかりました。TT-02をT4PMとSAVOXで走らせたら驚くほど思い通りに走れるようになりました。

そこまでやって、やっと良いRCメカの価値が理解できました。今なら声を大にして言いたい。「サーキットを走るならミドルクラスのRCメカを付けないと、上達を阻害するし、修理代はかかるし、最後はつまらなくなってやめることになりますよ」と。

当時は本当に、世界に入門者とベテランしかいないのかと思う程、ミドルレンジのモデルも情報も見当たりませんでした。

最近ちょっとしたバギーブームは来ているような気がします。私がつくばラジコンパークに通い始めたころは、平日はガラガラで一人で走れることも結構ありましたが、最近は平日でも混雑を感じる時すらあります。個人的には空いているほうがいいですが、業界的には良い事でしょう。新製品もすぐ売り切れるし、なかなか盛り上がっているんじゃないでしょうか。ただ僭越ながら、走行のクラス分け「ビギナータイム」やレースの「ルーキークラス」が形骸化しているのが今後の発展の障害になってくるんじゃないかと思ったりもしています。昔は小学校の校庭や近所の公園で走らせていましたが、最近はそうもいかないので、思いのほか入門者が走らせられるところが少ないですね。

レース志向じゃないモデルやユーザーが気楽に走らせられる環境、かしまRCサーキットが盛り上がっているのはその辺需要をうまくつかめたのではないかと思います。バイク業界もそうですが、フィールドが徐々に先鋭化してしまうのは良くあることで、常にそれぞれのユーザーがレベルに合ったフィールドを選べる環境が大事だと感じます。

私は子供の頃ラジコンをやっていたのでプロポメーカーは知っていました。FUTABASANWAKO…でもメーカーのホームページを見ても知らない言葉ばかり並んでいて、性能もサイズも様々。今でもどれを選べばいいのかはよくわかりません。サーキットの利用方法やマナーもわからず怖かったし、今でもよくわからないことが多いです。レースに出ようと思ってもレギュレーションが理解できず、どのクラスに出られるのかもわかりませんでした。今のRC界は別に排他的ではないと思うのですが、ベテランが多すぎて入門者の感覚が分からなくなっているように思います。ネットで検索すればたいがいの事はわかる時代ですが、結構情報も少なく、知識のないものが自力で情報収集しながらやっていくのはかなりハードでした。

勉強しながら体験しながら発信していきますので、お役に立てれば幸いです。そして、まだまだ分からないことが多いので、取り入れる場合は他の情報も含めて判断していただくようにお願いします<(_ _)>

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